「萩ちゃーん!!」
呼び鈴を連打して俺を呼び出したさん。
馬子にも衣装とはこのことか、と思わず感心してしまうほどの変貌のし様。
「成人式、ですか。おめでとうございます」
「ありがとー!見せに着たんだよ、この姿!」
くるりと回って、素敵な晴れ着姿を披露する。
「馬子にも衣装って、まさにこのことですよね」
「……あれ?それって褒め言葉、だっけ?」
「褒め言葉褒め言葉」
「まあいいや、ありがと」
そう言って綺麗に笑うさんは、本当に本当に綺麗で。
「さん」
彼女に近づいて、その笑顔の頬に触れる。
「綺麗です、とっても」
少しを間を置いて、彼女は顔をぼっと赤くして、狼狽した。
「ははははは萩ちゃん?!何するの?!」
「お祝い、ですよ」
笑って、着付けが崩れないように、そっと彼女を抱きしめた。
12.12.22