愛さえあれば女友達(のまま)でも構わないよね!





色とりどりの電飾のついたリア充が集う木を見ると、それだけで溜息がこぼれる。

「ため息ついたら幸せ逃げてまうで、ちゃん」
「いやぁ、リア充はみんな爆発してまえばええねん」
「人を呪うと自分に返ってくんで。いつまでもそんな僻んどるから彼氏できひんねん」
「うっさいー!!あんたかて彼女おらんくせに!!」
「俺はな、言い寄ってくれる子はぎょーさんおんねんで?」
「自慢乙」
「でもな、心に決めとるやつがおるからな、作らんねん」
「ほう。エクスタシー、好きな人おったんや。誰?」
「んー?ちゃんには、秘密」


白石はもったいぶった上にかっこつけたつもりか人差し指だけ伸ばして、口元にあてる。
様になっているのがこの上なく悔しいです、ちくしょう。

「ドケチ」
「ぐさあっ!白石、むっちゃ傷ついたー」

オーバーでアホくさい芝居を挟んできて正直うっとおしいです。

「傷ついてもう立ち直れへんわ。自信なくしてもう告白もできへんわ……」
「私の知ったこっちゃない」
ちゃん、この責任、ちゃんととってや?」


一瞬、どういうことか、その言葉の意味をとらえるのに時間がかかった。
そして私はその言葉をかみ砕いた後、白石の頭をひっぱたいた。

「いったぁ!!」

なんともまあすばらしく痛そうな音がした。白石も痛そうなリアクションをしている。


「心に決めた人いるんちゃうん?お前の好きな人って、たったそれだけのやつなん?」

そう言ってやると、白石はハトが豆鉄砲をくらったような間抜け面を私にさらした。
珍しい表情に、写メって保存しといてやればよかったなんてふざけた思考が頭をよぎる。
その間に白石はいつも通りの澄ました表情を取戻していた。

「ううん、ちゃう。そんなもんやない」
「じゃあそんな簡単にあんな冗談言ったあかんやろ」
「厳しいなぁ、ちゃんは。他人にも、自分にも」
「え。ちゃうちゃう、イケメンに限って厳しいねん」
「何それ、ひどっ」
「ははっ!」

笑い飛ばせば白石はわざとらしく溜息をついて、それでもなぜか嬉しそうな表情を浮かべているのだ。


「嬉しそうやな、白石」
「だってクリスマスやで!幸せな気分にならへん?」
「そうか?」
「俺はめっちゃ幸せや」
「そっか」

白石は嬉しそうに私の隣を歩く。何がそんなに楽しいのだろうか。
クリスマスソングとリア充に溢れる街は、他人の幸福にあふれて悪酔いしてしまいそうだ。
だけど、まあ、
こいつの隣を歩いているのも、気が楽で心地よいものだと、思わなくもなかった。






13.01.04

+++++言い訳
クリスマスに書いたというのにあげ忘れて年越してしまいました。
なかなか想いのすれ違うけどなんだかんだ言ってお互い気の許しあう関係が好きです。


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